「月60時間超の法定労働時間外の労働で割増賃金率50%以上」は、大企業では2010年より既に施行されていますが、中小企業では経営に与える影響が大きいことからこれまで施行が見送られていました。
しかしながら、働き方改革関連法案成立の中で、2023年4月から中小企業零細企業にも適用されることとなりました。
このため、来年4月からは全ての企業が対象となります。
その施行に対して、企業として「残業は抑えましょう」では不十分で、それまでに労働生産性向上につながる以下の対応が必要と考えます。
①正確な労働時間の把握の実施
まず、実態を正確に把握する必要があります。勤務の実情を正確に把握することで、経営側も
労働者側も労働時間に対する認識が高まります。
もし、勤怠管理のシステム化されていない場合は、正確・スピーディーに把握に対処するためにも
この機会にシステム化を検討された方が良いと思います。
②労働生産性向上の推進
上記①の状況で把握し、(従来から進められているとは思いますが)残業の実績から業務の棚卸
や業務偏りの平準化の他、ペーパーレス、ワークフロー等社内業務のシステム化等を強化し、
労働生産性を高めることが必要です。社員の多能工化も有効な方法と思います。
③人事施策の実行
変形労働時間制、勤務間インターバル制度、交替勤務や時差出勤等勤務態等有効な施策の導入や
運用強化、代替休暇、残業削減分のボーナスでの支給による再配分の仕組みの検討等の
人事施策を検討し実施する必要があります。
また、法定休日の明確化等会社カレンダーの見直し(※)も有効な施策と考えます。
参考※法定休日と法定外休日は会社のカレンダー上では同じ休日ですが、休日労働の扱いにおいては別の扱い
となります。例えば土曜日が法定外休日で日曜日が法定休日と定めた場合に、当該月に既に60時間の
法定時間外労働が有った場合、追加で土曜日の出勤は60時間にプラスされますので50%の割増率とする
必要がありますが、日曜(法定休日)の労働は別のカウントとなりますので、35%の割増率で良いこと
になります。
④社員教育
労働時間等雇用管理について社員教育(特にマネジメント層)の実施は必要と思います。
労働時間の基本的な理解の他、36協定や時間外の上限規制、年次有給休暇、休憩・休日等々。
また、育児介護休業法やハラスメント防止についても重要と思います。